散歩の途中にぶらっと。
たっぷりの野菜をいただけるカフェ。

 「ガルテン」とは「ガーデン」。ドイツ語で庭を意味します。
 農業研修のため、ドイツで暮らされた経験をもつ妻の久美子さん。そこで目にしたのは、ゆっくり流れる時間を思い思いに楽しむ人々。「ヨーロッパの人たちは、余暇の過ごし方がとても上手で。散歩をして花をみたり、庭でお茶を飲んだり。日本でも似たようなスタイルを取り入れられたら素敵だなって思って」。散歩の途中に、ぶらっと気軽に寄れる店を作りたい…。これが「ガルデンカフェ ぶ楽り」の原点です。
 「コーヒーとケーキをだす店ってことでオープンしたんですけど」と久美子さん。開業してまもなくすると、新鮮な野菜をたっぷり食べられると近所でも評判のカフェに。いまでは食事をされる方のほうが圧倒的に多いのだとか。
 さっそく、看板メニューである野菜入りビーフカレーをいただくことにしました。まず驚かされたのがその野菜のボリューム。カレーの上に所狭しと並んだ野菜は、「主人や父や母がつくった新鮮で安全な野菜をたくさん召しあがっていただきたくて」という久美子さんの思いがカタチとなったもの。次に驚いたのが、その種類の多さ。ピリッとする辛みが特徴のからし菜や見た目もカラフルで楽しいアイシクルやスイスチャード。それにこれは、どこかで見たことがあるような…。「それは春菊です。うちでは、まだ小さいうちにお出しします。そのほうがやわらかくて、風味も食感もよいので」。これだけたくさんのお野菜をカフェで気軽にいただけるのは、うれしい、のひとことです。

洋蘭農園から園芸店へ。
そして、野菜作りの始まり。

ご主人の石井一平さんは14代続く農家の跡取り。石井家はご主人のお父様の代までこの市川の地で洋蘭の栽培をされていました。ところが生産技術の向上により、安価に花がつくられる時代になってくると、洋蘭に頼る経営の見直しを迫られることに。そこで20年前、ご主人のお父様がいまも続く園芸店へと農園の形を変えられたのだそうです。
 園芸店にはシーズンがあります。ご主人曰く、「春から梅雨時にかけてと、秋から年の暮れにかけては商品がよく動く」ということ。そこで、比較的手が空く時期、いわば園芸店の農閑期に何かできないかと考え、出来あがったのが、有機農法で育てた完熟トマトです。季節ものゆえ、今回いただくことは叶いませんでしたが、「そもそもモノが違う」と評判は上々のようです。
 カフェにほど近い畑とは別に、長野県奥蓼科でも野菜をつくっています。管理をしているのはご主人のお父様とお母様。洋蘭栽培に使っていた土地を畑にかえて、奥蓼科の厳しい温度差、湿度差を利用した高原野菜を栽培しています。夏場になれば、ご主人のトマトはもちろん、ご両親のつくった高原野菜がカフェの敷地内にある野菜直売所に並ぶそうです。いまから夏を待ち遠しく感じるのは私、だけでしょうか。

野菜へのこだわり。
信頼関係が安らぎの空間を生む。

 「旬のものを旬の時期につくる」ことが大切、と語るご主人。時期をはずさないことで、病害虫もつきにくくなるそうです。ただ、十分注意はしていても、虫がついてしまうこともあるとか。「 極力、化成肥料や農薬は使わないように栽培していますが、生育段階で虫がついてしまった場合など、状況を判断して農薬を使うことはあります。もちろん、その場合はお客さんに正直に、ちゃんと説明します。情報を公開することで納得して買っていただきたいですから」。
 「ガルテンカフェ ぶ楽り」では、お花に囲まれた庭を散策するのはもちろん、近くにある農園も見学できます。「野菜をつくっている場所や、つくっている自分たちの姿勢をみてもらって、安心や安らぎを感じてもらえれば」と語ってくれたご主人。生産者と消費者の距離の近さ。信頼関係を何よりも大事にするご主人の姿勢を知るからこそ、ここを訪れるお客さんは安らぎを感じるのでしょう。
 
 (レポート: m.okusako/2010-2-3)
千葉県の農家レストラン「ガルテンカフェ ぶ楽り(ぶらり)」
オリジナルのスイーツ。こちらも手づくり。シンプルながら「いい味だ」とお客様の評判が高いメニューのひとつ。
千葉県の農家レストラン「ガルテンカフェ ぶ楽り(ぶらり)」
これが野菜たっぷりのカレー。食感の良い新鮮な野菜と少し辛めなカレールゥとの相性がとてもいいです。
千葉県の農家レストラン「ガルテンカフェ ぶ楽り(ぶらり)」
お伺いしたのは2月初旬の時期。ビニールハウスの中ではピンと張りのある小松菜が育てられていました。収穫間近です。
千葉県の農家レストラン「ガルテンカフェ ぶ楽り(ぶらり)」
落ち着きある、ゆったりとした空間の店内。庭を眺めながらぼんやりしているだけなのに、とても充実した気持ちになれるのが不思議