「農家の営む」レストランが今では人気ポイントに。
自家米キヌヒカリはおかわり自由、店頭で販売も。
代々にわたって米作農業を営んでいる笹生(さそう)家。神奈川県奨励米品種のキヌヒカリを扱っており、毎年秋には家族総出で稲刈りを行なっています。そんな家のご主人が1968年に最初にオープンさせたのは、意外にもバーベキューレストランでした。当時、外食の花形といえば、野菜よりも肉。現在のステーキレストランに業態変更したのはその7年後でしたが「農家が経営していることは最初、言わずにいたんですよ。『農家』って、当時はかっこ悪いイメージしかなかったから」。その風向きが変わっていったのは、20年ほど前、レストランで自分たちが作ったお米の販売を始めたことがきっかけでした。「やはり自分たちで作った地のものを食べていただきたい」ということから始めた試み。定着までには10年ほどかかったものの、時代の後押しもあって、現在では「おいしいご飯がお腹いっぱい食べられるステーキの店」として、すっかり有名になりました。ステーキソースは「ご飯が食べたくなる味であることを意識した」とご主人。その意味を探るべく味わってみると、なるほど、醤油、味噌を入れるなどして和を感じるテイスト。「ご飯のお代わりが自由なので、ご飯に直接ソースをかけて召し上がる方もいらっしゃいます」というように、評判も上々のようです。
食事は味だけでなく時間や過程も楽しんでほしい。
だから、丹精込めたローズガーデンや稲刈り体験も。
一方、店の前面に広がるガーデンには約100本のバラが配置され、訪れる人の目を楽しませています。日々の手入れはオーナー自らが担当。「外食するならその時間、雰囲気も楽しんでいただきたくて。自分も花が好きなので、農家の栽培技術を生かして数年前からやっています」。
また、米作りの過程を知ってもらおうと、今では年2回のちびっ子田植え教室と、稲刈り大会が恒例の行事に。「稲刈りは小学校低学年の子どもがメイン、植える時は幼稚園児がメインです。幼稚園の子どもたちには『口にするものは土から生えているものだから、土は汚いものではなく、大切なもの』と伝えるためにも、このような体験は大切なことだと考えています」。そんな思いが定着してきたのか、その日だけは「どろんこになって遊んできなさいよ」と言ってくれるお母さんも増えてきたそうです。
米だけでなく、農園で収穫された野菜や果物など
地元の食材をもっとメニューに登場させていきたい。
お米だけでなく、自家農園ではオクラ、トマト、キュウリ、カボチャ…。野菜もいろいろと育てているそうです。柿や栗も毎年実をつけるので、たくさん採れるとデザートを作ったりもしているとか。今のところは「採れたとき限定」の付け合わせ程度ですが、今後は畑で作ったものもメニュー化していきたい、と計画中。「ファミレスのように一カ所で作って、どこで食べても同じ味というものより、その土地ならではの味を楽しめる食事を提供していきたい」と語るご主人。次に訪れるときにはどんな新しい「農家の味」で楽しませてくれるのか、今からちょっと楽しみです。
(レポート: t.mutou/2009-10-16)
ガーデンの手入れをしていたオーナー。腰には2本の植木ばさみを付け、本格的。
美しいバラに囲まれたガーデンで食事を楽しむことも出来ます。夏場はビアガーデンに変身。
田んぼで採れたお米をお店の入り口で販売。お米だけを買いに来る方も多いようです。
人気の「栗の里コンビ」。ソースはご飯に合うよう、味噌、醤油を使い和テイストをプラス。
真っ白なキヌヒカリ。コシヒカリのようなモッチリ感だが、お腹に溜まらない軽い感じが人気。










