相模湾を見下ろす絶景ロケーション。 原木から採った椎茸と四季の味覚を炭火で堪能。

美しい景観が望める根府川の山の中腹に広大な敷地。
自然とふれあいながら味わう炭火焼料理や味覚狩り。

 海岸線近くまで山並みがせまる、自然豊かなロケーション。「きのこ苑 お山のたいしょう」は、根府川の山の中腹、1.2ヘクタールの広々とした敷地を利用した、炭火焼料理の農家レストランです。四季折々の味覚狩りや、自然散策を楽しみに訪れる家族連れも多く、訪れた週末には山の中にもかかわらず、なかなかの盛況ぶりでした。
 こちらのしいたけは屋内で原木栽培をしているため、1年を通じて収穫が可能。さっそく、きのこ狩りを体験し、採れたての味を景色とともに楽しもうと、レストランの屋外席に向かいました。まず試してみたかったのは、やっぱり炭火焼。都会のスーパーでは見かけないような、ふっくらとした大きなしいたけ。ふと、かさの黒い部分を見ると、表面に白いつぶつぶがありますが……。「とれたての椎茸には、白い粉のような『リンピ』があるんです。時間がたち鮮度が落ちると徐々にリンピが薄れ、同時に香りもどんどん逃げていきます。やはり椎茸の本当の美味しさは、リンピが残っているものでしか味わえないと思っています」と、園主の川島さん。炭火焼のメニューには地場産の野菜のほかに、相模湾でとれたホタテ、サザエなどもありますが、これも、素材そのものの美味しさを感じてもらうためには、シンプルな調理法で味わってもらうのが一番、という考えからなのです。

3.5ヘクタールの専業みかん農園が
これからの農業経営のあり方を考えて、一念発起

 農家の4代目である川島さん。当時、この周辺は、みかんの専業農家が350戸あまりもあって、有名なみかんの産地でもあったそうです。川島さんは、家族とともに開拓に励み、親の代から受け継いだ農地は3.5ヘクタールものみかん畑となりました。しかしその後、国内のみかんが生産過剰になるとともに、アメリカからのオレンジの自由化などもあり、みかんの価格が下落。経営を改善するため、しいたけ栽培を取り入れることにしたそうです。「以前は市場主義にまかせて出荷していたため、価格の変動が激しく大変な思いをしました」。
 なんとか、自分で作ったものの付加価値を高めなければ……。そう考えていたころ、ちょうどチャンスが訪れました。県の整備事業により、これまで農業にしか使うことしかできなかった農用地で、加工品販売など、都会の方々とのふれあい場として営業ができるようになったのです。さっそく一から準備に取り掛かり、1993年5月、炭火焼のレストランとしいたけ狩り、みかん狩りのできる「お山のたいしょう」をオープンさせたのだそうです。

「都会の方も故郷の雰囲気に惹かれるはず」と
信じ続けた農家スタイルのおもてなしが今、人気に

 園内の机や椅子などは全て園主の手作り。開店までの準備段階では楽しみだったものの、山の中での営業ということもあり、はじめは思うように集客できなかったそうです。「でも、その頃から自信はあったんですよ。都会からのお客さんとはいえ、地方出身者や、農家出身の方も意外と多いでしょう。そういう人たちには必ず故郷志向があると思っていましたから。だから、こういう農家スタイルでやっていけば、いつか口コミ等で広がっていくと信じていました」。
 しいたけ栽培も、中国からの輸入が増えた最初のころは経営がたいへんだったそうですが、次第に出荷量も増加。レストランを始めたことにより、少々形がいびつというだけで市場価値が下がってしまったような作物も、店内でおいしく味わってもらえるようになりました。「『しいたけ嫌いだった子どもが、ここで食べてから好きになった』と言ってくれたお客さんもいましたよ」。
 今では地元の人から都会からの家族連れまで多くの人が訪れる「きのこ苑 お山のたいしょう」。「過剰なサービスはありませんが、お客さんには景色を、植物を、鳥のさえずりを楽しみながらゆっくりくつろいでいただいて、リフレッシュしてもらえればいいな、と考えています」と川島さんは語ってくれました。
(レポート: t.mutou/2009-10-16)
相模湾を見下ろす最高のロケーション。景色、 料理ともに楽しめるスポットです。
原木の椎茸を採って、新鮮なまま炭焼きで食べることができます。
天気の良い日は屋外席がおすすめ。思わず食も進んでしまう。
裏返った椎茸が、炭火で汗をかいてきた頃が食べごろ。よい香りが口の中にひろがる。
お山のたいしょうBコース。椎茸と茸の盛り合わせのほか、自家製こんにゃくや野菜も魅力。