「ここきち」食材辞典

7月の旬の食材 トマト

トマトはナス科の多年草で、果実にはぎっしりと豊富な栄養が含まれる緑黄色野菜です。日本では生食が主流ですが、世界的には調理用として広く普及しています。
トマト
旬
生育適温は25〜26℃。ハウス栽培のものを含めれば一年中食べることができますが、旬は、露地栽培トマトの収穫期である6〜9月と言うことができます。カロテン含有量を季節で比較すると、7月のトマトは2月のものより約2倍も多く含んでいるという研究結果もあるそうです。
生産地
トマトは昼夜の寒暖差が大きいほどよく育ち、かつ、多湿を嫌います。したがって露地栽培が中心の夏秋トマトは、北海道、青森県、福島県、茨城県などの高冷地でおもに生産されています。ハウス栽培がメインとなる冬春トマトは、熊本県、愛知県、千葉県などで生産が盛んです。
  • 「トマトが赤くなると、医者が青くなる」。その薬効は古くから信じられています。
     赤い色素成分であるリコピンには、さまざまな生活習慣病の原因となる活性酸素を無毒化するという、非常に優れた働きが発見されています。リコピンは熱に強く、油に溶けやすい性質があるので、オリーブオイルなどと一緒に調理すれば体内吸収率も3〜4倍に高まると言われています。
     また酸味のもとであるリンゴ酸とクエン酸は、消化を助けたり疲労回復を促したりと、体のコンディションを保つために役立ちます。その他、皮膚や粘膜を強くするビタミンA、血管を丈夫にするクエルセチン、余分な塩分を排出するカリウムも多く含み、さらには抗酸化ビタミンと呼ばれるベータカロテン、ビタミンCも豊富です。これらによって大病の予防、体調管理、アンチエイジング、美肌などの効果が期待できます。
  • 南米から欧州へ、そして北米へ。トマトは大航海を経て日本に伝わりました。
     トマトの原産地は、中南米のアンデス高原であるとの説が有力です。トマトという名もメキシカン・インディアンの言葉で「膨らんだ果実」を意味する「tomatl(トマトル)」が由来であると言われています。なお、学名の「Solanum lycopersicum」はギリシャ語で「オオカミの桃」という意味を持っています。ちなみに北海道上川郡鷹栖町産のトマトジュースに「オオカミの桃」という商品がありますが、その名はまさしくトマトの学名から付けられたものです。
     トマトは16世紀になってヨーロッパへ伝わりましたが、当初は観賞用として栽培されていたようです。ところが19世紀にイタリアでトマトソースが生まれると、ヨーロッパ各地へと飛躍的に広まり、今度は北米に伝わって品種改良が進みました。その間、イタリアでは「黄金のリンゴ」、フランスでは「愛のリンゴ」なる愛称も生まれました。
     日本へ伝来したのは18世紀初頭。オランダと交易のあった長崎に伝えられ、「唐柿(とうがき)」「唐茄(とうなす)」「蕃茄(あかなす)」「小金瓜(こがねうり)」などと呼ばれていましたが、独特の青臭さが敬遠され、もっぱら観賞用だったようです。現在日本で流通している桃色系の大玉トマトは、20世紀にアメリカから導入された品種をルーツとしています。
  • 日本では生食用品種が、ヨーロッパでは調理用が一般的に普及しています。
     トマトの種類は、果皮の色で桃色系と赤色系に大別されます。日本における主流は、酸味よりも甘味が強調され、臭みも少ない生食向きの桃色系です。しかし世界的には赤色系が主流。赤色系は香りと酸味が強く、熱を加えると旨味成分が増すので、調理用として普及しています。日本でもおもにジュースやケチャップなどの加工用として赤色系も多く栽培されています。
     日本でもっとも多く出回っている品種は、桃色系の完熟大玉トマト「桃太郎」。熟しても実が崩れにくい品種として開発され、1980年代から急速に普及しました。今ではこの「桃太郎」が生食用トマトの8割を占めているほどです。また、同じく桃色系の大玉で、お尻の部分がとがった形をしているのが「ファーストトマト」。ドロッとしたゼリー状の部分が少なく、果肉が多いのが特徴です。
     一方、赤色系の代表品種は「サンマルツァーノ」です。形は細長く、果肉が厚いのが特徴で、熱を加えることで強調される旨味成分のグルタミン酸を多く含んでおり、調理用に重宝されます。さらに「シシリアンルージュ」は、イタリア・シシリー島(シチリア島)生まれの調理用トマトで、比較的新しい品種です。果肉が軟らかく、他の素材によく絡む濃厚な味で、短時間で調理できる便利さが好評です。
     さらに、トマトは大きさでも分類することができます。お弁当やサラダに人気なのが、赤、黄、オレンジなど色のバリエーションも豊富な「ミニトマト」。大玉よりも甘味が強く栄養価も高いのが特徴で「プチトマト」「ミニキャロル」とも呼ばれます。さらに、1粒の直径が1cm以下と極小な品種は「マイクロトマト」と呼ばれます。大玉とミニの中間に当たる大きさのものは、総称して「ミディトマト」と呼ばれます。大玉よりも酸味が強く、味も濃いのが特徴です。
     最後に「フルーツトマト」を紹介します。栽培時に水やりを控えることで、糖度を高める工夫がなされています。「フルーツルビー」「フルーツゴールド」「フルーツイエロー」などの品種があり、甘さはイチゴと並ぶほどです。
  • 色づきよりも鮮度を見抜いて選びましょう。調理用なら冷凍保存も可能です。
     トマトは「追熟」と言って収穫後にも色づく性質があります。そのため店頭ではどれもが赤く色づいた状態で並んでいますが、収穫後に熟したものよりも、枝についたまま完熟したもののほうが栄養価は優れています。したがって、より栄養価の高いトマトを店頭で選ぶには、収穫からあまり時間の経っていないもの、ヘタの切り口がみずみずしくピンとしているものを見分けることがコツになります。また、持った時にずっしりと重みを感じられるものほど甘味が詰まっています。
     保存する場合は、ポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室へ。3〜4日はもちます。また、余った時はそのまま1か月ほど冷凍保存することもできます。解凍後はトマトソースや煮込みなど、調理用に重宝します。