
- 四季を通して市場に出回っているほうれん草ですが、本来の旬は11月~1月。冬の冷たい空気にあたったもののほうが甘さが増し、カロテンやビタミンCなどの栄養素も豊富に含まれています。1月~3月には露地栽培で葉に霜があたって縮んだ“縮みほうれん草”とよばれるものも出回ります。

-
かつては、都市近郊産地の冬の代表的な野菜でしたが、夏でも栽培ができる一代雑種が普及してからは産地も全国へと広がりました。特に栽培量が多いのは、千葉県と埼玉県で合わせて全国の2割程度を占めます。夏には涼しい高冷地や北海道、東北からの出荷が増えます。
-
- ペルシャから東西へと伝えられたほうれん草。
- ほうれん草の原産地は中央アジアから西アジアで、冷涼な気候を好み寒さに強いのが特徴です。漢字では「菠薐草(ほうれんそう)」と難しい字を使うのですが、この「菠薐(ほうれん)」とは中国語でペルシャのこと。はじめて栽培がはじまったのは、ペルシャ地方(今のイラン)だとされています。その後、イスラム教徒によって東西に伝えられ、ヨーロッパへは北アフリカからイベリア半島を通り、スペインには11世紀頃、イギリスには14世紀頃、フランスには16世紀頃に伝えられました。中国には「西遊記」の三蔵法師も通ったシルクロードを経て唐の時代に伝わりました。
中国とヨーロッパに伝来した後、それぞれがそれぞれの土地に合わせて進化をしたほうれん草。中国のものは葉先が三角形にとがり、のこぎりのような切れ込みがある形で東洋種と呼ばれ、ヨーロッパのものは葉先が丸い西洋種と呼ばれています。日本には16世紀頃中国から東洋種が、1862年にフランスから西洋種が伝わり、現在では日本の食卓で定番の緑黄色野菜となっています。
-
- 東洋種と西洋種のいいとこどりをした、一代雑種が現在の主流。
- 日本ではギザギザとした薄い葉をもち、アクが少なめの東洋種と、厚く丸みを帯びた葉をもち、アクが強い西洋種のどちらのほうれん草も栽培されてきました。しかし、最近は両者をかけ合わせた一代雑種が開発されて広く普及しています。東洋種と西洋種のいいとこどりである一代雑種、ギザギザの葉と丸い葉が混じっていて、しっかりした茎をもっているのが特徴です。さらに、病気に強く周年栽培できるということもあり、現在市場に出回っているほうれん草のほとんどが一代雑種のものとなっています。
また、近年は生食用に改良されアクが少ないサラダ専用種“サラダほうれん草”も市場に出回るようになりました。薄い色の葉で柔らかく、茎もほっそりしているのが特徴です。ほかにも、アメリカなどで栽培されているウイルス対抗性が強く、葉が縮んでいる“サヴォイほうれん草”など、珍しいほうれん草があります。
、個性豊かな新野菜たちにも注目が集まっています。
-
- さまざまな栄養素を持つ、緑黄色野菜の代表格!
- ほうれん草は、鉄分やカロテンといったビタミン、ミネラルが豊富で、栄養的にとても優れた緑黄色野菜です。100g食べることで、成人が1日に必要なビタミンAやビタミンCのほぼ全量を摂取することができ、また、ガンや動脈硬化などの予防に役立つといわれるカロテンに関しては、野菜の中でもトップクラスの含有量を誇ります。さらに、食物繊維も豊富に含まれているので胃腸を整え、便通をよくする効果もあるとされ、ヨーロッパでは“胃腸のほうき”といわれています。
結石の原因となるシュウ酸が多いといわれているほうれん草ですが、シュウ酸というのはアクの成分なので、茹でて水にさらすと溶け出し、よほど大量に食べない限り問題はありません。栄養豊富でさまざまなお料理に合うほうれん草ですが、冬採りのものは夏採りに比べて約3倍のビタミンCが含まれているので、風邪予防の意味でも、特に冬にたくさん食べたいお野菜です。
-
- たっぷりのお湯でサッと茹でて、よくアク抜きをするのがポイント。
- ほうれん草は、葉がみずみずしくてつやがあり、茎が太すぎないものを選びます。根が濃いピンクのものは、味のよい東洋種の性質を備えています。
茹でる際は、たっぷりの湯(材料の7~10倍重量)に0.5%の塩を加え、沸騰したところにほうれん草を入れてふたをせずに茹でるのがこつです。ビタミンCは熱による損失が多いため、茹で時間は1分程度が最適。茹でた後はアクを抜くためによく水にさらします。長期保存する場合は下茹でして根元を切り、水気をしぼってラップなどで小分けに包んで冷凍保存します。解凍するときは、冷蔵庫で時間をかけて自然解凍しなければ栄養素が破壊されてしまいますので注意しましょう。
冷蔵庫での保存は葉の水分が蒸発しないようにキッチンペーパーや新聞紙にくるみ、ポリ袋に入れて、畑で育っていたように立てておくとのがベスト。葉が重なり合わないので傷がつきにくく鮮度が保てます。