「ここきち」食材辞典

サツマイモ
旬
秋の味覚のひとつ、サツマイモの収穫期は8月~12月。2ヵ月ほど貯蔵し、水分が蒸発したものの方が糖分が増して甘くなることから、3月くらいまで旬は続きます。掘りたてのサツマイモを味わえる「サツマイモ掘り」なども食欲の秋の楽しみかたのひとつになっています。
生産地
繁殖能力が高くて痩せた土壌でも育てられるサツマイモ。温暖な気候を好むため、日本では関東より南で栽培されています。主な産地は鹿児島県や茨城県、千葉県、宮崎県など。収穫量トップを誇る鹿児島県では全国約4割のサツマイモが作られています。
  • 薩摩藩から全国に普及。サツマイモは日本の危機を何度も救った英雄。
     サツマイモはメキシコを中心とする熱帯アメリカで生まれたと考えられています。その後ヨーロッパからアジアに渡り、世界中に普及しました。日本にやってきたのは1600年ごろのこと。中国から琉球(現在の沖縄県)へと伝わりました。その後薩摩(現在の鹿児島県)の前田利右衛門が琉球から薩摩に持ち帰り、薩摩全域で栽培されるようになりました。民間人として初めてサツマイモ栽培を広めた利右衛門は、「甘藷翁」として地元で称えられ、サツマイモの神様として祭られています。
     サツマイモが日本にやってきた当初は、中国での名称と同じ「甘藷(かんしょ)」や、“中国(唐)から来たいも”=「からいも」などと呼ばれていましたが、八代将軍 徳川吉宗が「サツマイモ」と命名し、蘭学者の青木昆陽によって全国に広められました。
     吉宗にサツマイモの栽培普及を決意させたきっかけとなったのが1732年の享保の大飢饉。全国的に深刻な食料不足に陥る中、痩せた土地でも育てることができるサツマイモの栽培が盛んだった鹿児島県、長崎県においては餓死者が出なかったことがきっかけだと言われています。
     その後の江戸時代中期に起こった天明の大飢饉、第二次世界大戦の食料難時代にも、サツマイモは多くの人々の命を救ってきました。
  • サツマイモはさまざまな用途に使われ、多くの品種があります。
     サツマイモは、質感や色、大きさ、でんぷん含有量などが異なる多くの品種が流通しています。一般的にスーパーなどで売られているのは、繊維が少なく甘味が強いベニアズマ、焼き芋用として知られる、色や形がきれいで味がよい紅赤(べにあか)、全国的に栽培されている細長くて甘味が強い高系(こうけい)など。この他、でんぷんの材料用としてのシロユタカ、シロサツマ、コガネセンガン、主に焼酎用として栽培されているジョイホワイト、スナック菓子用として人気があるベニハヤトなどがあり、七福人参、琉球紫、サツマスターチなどは、天然着色料として栽培されています。
  • 栄養価に優れたサツマイモ。ローカロリーなのでダイエットにもおすすめです。
     便秘や風邪によいとされるサツマイモですが、古書には凍傷にサツマイモのすりおろし汁を塗ったなどの記載もあるそうです。他のイモ類に比べてカルシウムが多く、その他、糖質、たんぱく質、ミネラル、ビタミン、食物繊維などが多く含まれ、カリウム、カロテン、パテトテン酸も豊富に含有しています。  
     サツマイモの切り口に出る白い液体は、サツマイモだけに含まれるヤラピンという糖脂質で、食物繊維との相乗効果で便秘予防に活躍してくれます。また、美容によいと言われるビタミンC、ビタミンEも含まれています。ヤラピンや、抗酸化物質であるクロロゲン酸は、皮の近くに入っているので、皮ごとの調理がおすすめです。
    これだけ栄養価の高く、甘いこともあって高カロリーだと思われがちなサツマイモですが、実はじゃがいもよりも低カロリー。焼き芋100gはごはん100gと同じくらいのカロリーになります。少量でも満腹感が得られることを考えると、サツマイモはダイエットに適した野菜だと言えそうです。
     生、蒸し、焼き、干しの中では、蒸した場合が一番ローカロリー。干しいもは、蒸した場合の倍以上のカロリーがありますが、カリウム、食物繊維の含有量も豊富になります。
  • 調理はじっくり低温で。寒さに弱いので冷蔵庫保存はNGです。
     サツマイモは、凹凸が少なく滑らかで色が濃く鮮やかなものを選ぶとよいでしょう。ひげが多かったり、深かったりするものは筋っぽいことが多いので避けたほうがよいでしょう。
     皮の付近に栄養が豊富なことから皮のままの調理がおすすめですが、皮ごと調理する際には、切ったサツマイモを5分くらい水につけてアクを抜いておくと、料理したときの色もきれい。また、皮が黒くなっている部分は特にアクが強いので、取っておきましょう。
     また、サツマイモは電子レンジなどで急速に高温加熱すると甘味が出ません。じっくりと低温で加熱することで糖度が上がります。保存の際には、新聞紙などに包んで、またはダンボール箱に入れて冷暗所へ。低温や風に弱いので、冷蔵庫での保存は避けたほうがよいでしょう。