「ここきち」食材辞典

小松菜
旬
冬菜や雪菜とも呼ばれる小松菜の旬は12月~3月。非常に寒さに強く、葉が凍っても枯れることはありません。霜が降りる季節には葉肉が増して柔らかくなり、甘みが増します。栽培期間が短く、環境への対応能力に優れているため、トンネル栽培やハウス栽培などでも栽培が可能で、市場には1年を通して出回っています。
生産地
日本全国で栽培されている小松菜ですが、古くから関東で親しまれた野菜です。主な産地は、東京、神奈川、埼玉、千葉などの都市近郊。全国の約8割は関東地方で生産されています。特に小松菜の発祥地である東京には多くの生産者が存在し、その生産量は全国で1~2位を誇ります。
  • 将軍様が名付け親。江戸時代から栽培されている冬の青物野菜。
     小松菜の原産地に関しては諸説がありますが、南ヨーロッパの地中海沿岸という説が有力。ヨーロッパから中国を経由して、江戸時代の初期に日本に伝来した「ククタチ(茎立ち)」というカブが小松菜の祖先だといわれています。その後、当時、小松川地区と呼ばれていた現在の東京都江戸川区付近で品種改良が行われ、小松菜が誕生、栽培が始まりました。
     当時の江戸は、人口の集中により食糧不足に陥っていたため、幕府は江戸城周辺に直轄地を配置して特に野菜の生産を奨励していました。そのため、荒川や江戸川が流れ込み、水が豊かな小松川地区は野菜の一大産地となっていました。小松菜の栽培に適した、きれいで豊かな水を持った小松川地区で、小松菜は特産となり、冬場の青物野菜として江戸の人々に重宝され、江戸の雑煮には欠かせないものとなっていました。
     小松菜は、江戸時代半ばまでは“葛西菜”と呼ばれていました。“小松菜”と名付けたのは、五代将軍綱吉。鷹狩りをしに小松川地区を訪れた際に献上された小松菜を食し、喜んだ綱吉が、「小松川の名産ゆえ小松菜と名付けよ」と命名したと言い伝えられています。“小松菜”という名は、将軍様、直々に付けていただいたありがたいお名前なのです。
  • 多くの品種を持つ小松菜。他の野菜とかけ合わせた新野菜も多く登場しています。
     小松菜には、各地にさまざまな品種があり、独自の名前で親しまれています。新潟県原産の「女池菜(めいけな)」は甘さとぬめりが特徴。また、福島県には、「信夫菜(のぶな)」という、葉の縁に切れ込みが入った小松菜があります。他にも群馬県と埼玉県で多く栽培される、非常に寒さに強い「武州寒菜(ぶしゅうかんな)」や、300年程前に、新潟県の大崎という地域で改良されて定着した、苦味が強く味が濃い「大崎菜」などもあります。
     最近では、小松菜とチンゲン菜をかけあわせた「べんり菜」のように、小松菜と他の野菜をかけ合わせた新野菜も登場しています。ターサイとのかけ合わせで作られ、漬物から油炒めまで幅広く使える「ちょうほう菜」や、香川独自の野菜、さぬきなとのかけ合わせで、シャキシャキした食感と食べやすさが特徴の「食べて菜」など。それぞれの野菜と小松菜の長所を味わうことができる、個性豊かな新野菜たちにも注目が集まっています。
  • “自然のサプリメント”ともいわれる、栄養豊富な野菜。
     小松菜は、カロテン、ビタミンC、カルシウム、鉄、食物繊維、カリウムなど、多くの栄養素を含んでいることから、“自然のサプリメント”ともいわれています。なかでも特筆すべきは、カルシウムの含有量。小松菜100gには、牛乳300ccに匹敵するカルシウムがあり、その量は、ほうれん草の約5倍! ほうれん草よりアクが少ないため、ビタミンやミネラルを効率的に摂取できるのも特徴です。
     小松菜は、炒めても、茹でても、蒸しても、汁物に入れてもおいしくいただける、用途の広さも特徴で、骨粗鬆症や成人病、がんの予防のためにも積極的に食べるとよいとされています。また、小松菜に含まれるカルシウムは、ビタミンDを含む魚介類と一緒に摂ることで、吸収率が上がるといわれているので、魚料理の付け合せにもおすすめです。
  • 新鮮なうちに食べきるのがベスト。残った場合は茹でてから冷凍庫へ。
     小松菜は、葉が厚くて大きいもの、濃い緑色のものを選ぶとよいでしょう。シャキッとハリのあるものは新鮮な証拠。根元には泥がついていることがあるので、調理する前に株の根元を広げながら流水でよく洗います。葉は水の中でふりながら洗いましょう。
     小松菜は傷みやすいので、購入してから2~3日以内で使いきることが大切。使いきれない場合は、濡れた新聞紙などに包んでからビニール袋に入れて保湿しながら保存しましょう。冷蔵で保存する場合は、密閉すると萎れやすいので注意。冷凍する場合は、かために茹でてから、使いやすい長さに切り、水気をよく切って荒熱をとってから、密封容器やラップなどに入れて冷凍保存しましょう。冷凍の場合、1ヶ月程度保存することが可能です。