「ここきち」食材辞典

5月の旬の食材 えんどう

えんどうはマメ科の一年草です。若いさやは「絹さや」や「スナップエンドウ」、成熟前の実(豆)は「グリーンピース」と呼ばれ、新芽や完熟した豆も食されています。
えんどう
旬
さやが鮮やかな緑に色づくえんどうは、3〜6月にもっとも出荷量が多く、代表的な春の食材といえます。耐寒性に優れた豆類の中でも特に寒さに強い作物で、生育適温は10〜20℃と冷涼な気候を好みます。
生産地
おもな産地は和歌山県、愛知県、鹿児島県、福島県など。盛夏には北海道産が流通しています。JA和歌山県農は、3月8日を「さやえんどうの日」、5月4日を特産品種にちなみ「うすいえんどうの日」としています。
  • 成長過程によって様々な呼び方、食べ方があります。
     えんどうの若いさやを早採りし、さやごと食用にするものを総称して「さやえんどう」と呼びます。流通の大半を占める「絹さや」は、さやの長さが5〜6cmのうちに摘んだものを指す名称であり、品種名ではありません。さや同士の擦れ合う音が衣ずれの音に似ていることからこの名がつけられました。大ぶりな品種の代表格には「オランダサヤエンドウ」や「フランスオオサヤ」などがありますが、近年では絹さや人気に押され減少傾向にあります。
     さやえんどうの仲間のうち、実(豆)をある程度成長させたうえで、さやごと食べられる品種は「スナップエンドウ」と呼ばれます。スナップエンドウは米国で品種改良されたもので、現在は日本各地でも栽培されています。肉厚で甘みの強い味が特徴です。なお、品種で味の差がつきにくいエンドウですが、愛知県在来品種の「砂糖ざや」には格別の甘味があります。
     えんどうの仲間には、さやごとではなく、豆の部分だけを食べるものもあります。その代表格はグリーンピース。豆が成熟する前に摘み取っています。また、完熟した豆は「青えんどう」「赤えんどう」と呼ばれ、青は甘納豆やうぐいすあんに、赤はみつ豆や大福豆に加工されます。
     さらに、成長過程の時間軸は前後しますが、エンドウの新芽を収穫したものは「豆苗(とうみょう)」と呼ばれ、おひたしや炒め物として利用されています。
  • さやの部分にも豆にも、豊富な栄養素が含まれています。
     えんどうには、細胞の老化を遅らせるカロテン、肌につやを与えるビタミンCなどアンチエイジング効果が高いとされる栄養素が多く、疲労回復効果のあるビタミンB群、体の材料となるたんぱく質など、豆類に特徴的な栄養も同時に摂れます。さらに、脳や神経の機能を活性化させると言われるグルタミン酸、成長期に欠かせない必須アミノ酸のリジンも豊富です。
     またグリーンピースには、腸の働きを良くする食物繊維と、血液を作る鉄分、そして糖質などを多く含んでいます。

  • 古代よりヨーロッパで食され、19世紀には遺伝子研究のきっかけに。
      えんどうの原産地は、中央アジアから中近東、地中海沿岸にかけての地域であると考えられており、紀元前の古代ギリシャ、ローマ時代にはすでに食されていたと言われています。当初はさやの中の豆だけが食べられていたようですが、17世紀頃からはさやごと食べる習慣も広まったと言われています。
     日本では江戸時代に栽培が始まりました。明治時代に入ると欧米各国からさや用、青豆用、完熟豆用と様々な品種が導入され、全国各地で栽培されるようになりました。
     ちなみに、生命の遺伝子研究のきっかけとなった「メンデルの法則」は、19世紀の生物学者グレゴール・ヨハン・メンデルによるえんどうの観察・実験をもとに生まれたものです。
  • 乾燥は大敵。なるべく1〜2日で食べきりましょう。
     おいしいさやえんどうを選ぶ際のチェックポイントはまず、さやの色。みずみずしくて緑色が鮮やかなものを選びましょう。また、さやのお尻についているヒゲは、白っぽくてピンとしているものほど新鮮です。さらに絹さやの場合は、さやが薄く豆が小さいもののほうが、やわらかい食感を楽しめます。グリーンピースは、空気に触れると乾燥して固くなりやすいので、なるべくさや入りのものを選びましょう。
     調理の際、さやえんどうはさやの筋取りをします。筋が残っていると口当たりが悪くなるので要注意です。グリーンピースはゆであがりにシワができやすいので、中火でサッと2〜3分ゆでた後、水を細く流し入れながらゆっくりと時間を掛けて冷ましましょう。
     最後に保存のコツです。さやえんどう、グリーンピースともに乾燥は大敵です。ビニール袋に入れて冷蔵保存し、なるべく1〜2日で食べきるようにしましょう。食べきれない場合は固めにゆでで、すぐに冷凍保存しましょう。